逆転の競争戦略

僕の嫌いな種類のビジネス書がある。それは、ある一つの論理を断定的に論じ、その論を補強するためにたくさんの事例を提示するのだけど、その例示されている内容がどこからそんなレアな事例取ってきたのとか、そんな会社知らないよみたいな事例ばかりが羅列されていて、理論の補強になっていないというビジネス書。読んでて面白くない。だから基本的に事例の多い本は嫌いなことが多い。

この本は事例が多いのだけど、日本人の著者が書いていることもあって良く知った事例をベースに説明しているので分かりやすい。そして、すごいのが分かりやすいフレームに沿って「リーダー企業が追随しにくい戦略の枠組み論」まで展開しているところ。ブルーオーシャン戦略を読んだ時も同じような感覚を覚えたけどこの本はそれ以上かもしれない。かなり素晴らしい本。この版が出たのは2~3年前のことだけど、なぜこの本を今まで手に取らなかったのかが不思議なくらい、そして読めていなくて残念。それくらいの良著です。いつも本を読むときは気になったところに折り目を付けているんだけど、この本は15か所ぐらいついている。そんなことからもこの本の良さは分かってもらえると思う。

例えば、松下。彼らの強みは地域に根差したナショナルショップにあった。しかし、家電量販店の出現によってその強みはむしろ足かせになってしまった。このようにリーダー企業がリーダーから落ちるパターンを

  1. 非連続的技術革新:カセット→CD→MD→HD
  2. ユーザー・ニーズの変化:預貯金の銀行間競争→MMFと銀行預金の競争
  3. 法律・制度の変更:B判→A判統一化によるゼロベースでの競争

として取り上げている。それらを防ぐためにも自社の提供しているサービスをより高次元の機能としてとらえることが重要であると説いている。レコードを再生するための針ではなく、メディアを再生する道具、音楽を楽しむという価値を提供といった具合に。最後にリーダー企業が追随しにくい戦略として、「競争優位の源泉を攻める⇔新たな競争要因を追加する」×「市場資産を攻める⇔企業資産を攻める」のマトリックスにおいて取るべき戦略を記述している。

最後まで一気に読んでしまった。このブログでは量も質もとても表現しきれていないので、興味がある方は是非とも読んでほしい一冊です。

山田 英夫 ¥ 2,625
多彩な事例がわかりやすさをアシスト
実践的な競争戦略本
  • 【レビュー】
  • ★★★★★
  • P&Gのリーダーとしての戦略として、「他社にシェアを取られるぐらいなら、自社内で喰い合った方が良い」というのは、なるほど新たな視点だと思います
  • 【カテゴリ】

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初版:2009年11月11日 12:31 改定:2009年11月13日 15:58

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